歩く旅を通じて、地域の価値向上、経済的な継続、未来へ受け継ぐ道づくりに寄与する。
国立公園の自然の活用と保全の考え方
売りすぎない観光の実践
自然活用と保全を両立するための地域デザイン
歩く東北研究所の実践事例から考える
Volcano Trail・MCT・国際コミュニティ形成
About Aruku Tohoku
歩く旅が、東北の鍵となる。
ツアー造成だけでなく、プロモーション、体制整備、保全活動まで一貫してデザインする。
自然を使う人と守る人を分けず、地域全体で自然を支える仕組みへ転換する。
Representative Profile / 代表プロフィール
後藤 光正
その土地にある、旅の理由を形にする。
Destination Development Producer(DDP)
東北を拠点に、その土地にある価値を見いだし、訪れる理由となる旅へと育てるDestination Development Producer(DDP)として活動している。
旅の理由となる資源は、多くの地域にすでにある。地域の人が大切にしてきた風景や暮らし、食や文化。しかし、身近で当たり前のものだからこそ、その価値に気づきにくかったり、旅人に伝わる形になっていなかったりする。
地域の人の視点に、旅人や市場の視点を重ね、その土地ならではの価値を見いだす。その価値を伝える言葉やコンセプトを紡ぎ、体験として形にし、実際に訪れ、楽しめる旅へと育てていく。
地域資源の発掘から、コンセプト設計、地域との関係づくり、受入体制整備、人材育成、旅行商品化、販売、プロモーション、自然や文化の保全までを横断。地域と市場、観光と暮らし、活用と保全をつなぎながら、「旅が生まれ続ける環境」を育てることを仕事としている。
大学卒業後、旅行会社で国内外の旅行企画・営業を経験。その後、広告企画会社で地域プロモーション、商品開発、住民参加型の地域ブランディングに携わり、旅行の「つくる・届ける視点」と、広告の「価値を見つけ、編集し、伝える視点」を培ってきた。現在は、食、まち、歩く旅、自然・保全の4領域を軸に、地域の未来につながる観光を実践している。
黒石フード・ミュージアム、仙台バーホッピング、復興庁「食べる東北」、Trail & Train、みちのく潮風トレイル、国立公園・温泉地での自然活用と保全など、地域資源をコンセプト化し、受入体制を整え、旅として市場へ届ける取り組みを展開。地域の価値が育ち、地域の人に仕事と誇りが生まれ、自然や文化が次世代へ引き継がれる観光を目指している。
DDPとは
その土地に行く理由を見つけ、形にし、育てる人
DDPとは、地域にある自然、文化、食、歴史、暮らしなどの資源を、旅人にとっての「その土地を訪れる理由」として見つけ、形にする実践者です。
地域の視点と旅人の視点をつなぎ、価値を伝えるコンセプトや体験をつくる。さらに、それを届ける人や受入体制を育て、商品化、販売、プロモーション、保全まで関わることで、継続して旅が生まれる環境を整えます。
その土台にあるのは、「なぜ観光を行うのか」「誰のための観光なのか」「何を未来に残すのか」という問いです。
大切にしている考え方
スタイルとは、どう見せるか、何を提供するか。スタンスとは、何のために、どう向き合うか。
スタイルは市場や時代に合わせて変わり、真似することもできます。しかし、スタンスは日々の判断と行動の積み重ねであり、簡単には真似できません。
地域の何を大切にし、誰と取り組み、旅を通じて何を育てていくのか。そのスタンスを持ちながら、その土地の価値が旅人に伝わるスタイルを考えています。
主な実践領域
- 食: 地域の食文化を、その土地を訪れる理由にする
- まち: 地域の日常や暮らしを、旅の体験にする
- 歩く: 道を、地域と出会う旅の仕組みにする
- 自然・保全: 自然を楽しむ旅を、保全と次世代の学びにつなぐ
合同会社歩く東北研究所 代表社員 / アトラク東北株式会社 代表取締役 / 株式会社インアウトバウンド東北 取締役
主な資格・実績:みちのく潮風トレイル約1,000km踏破、日本山岳ガイド協会認定 登山ガイドステージI・自然ガイドステージI、WEA Certified Outdoor Leader、Leave No Trace レベル2インストラクター、Wilderness First Responder(WFR)、第二種運転免許、温泉ソムリエ、国際利酒師。
地域連携・アドバイザリー・取材・講演等のお問い合わせは、ページ末尾のお問い合わせフォーム(ボタン)、または歩く東北研究所公式サイト経由で受け付けています。
歩く東北研究所 公式サイトConcept
商品造成で終わらせず、地域が疲弊しない観光へ。
国立公園における自然観光は、利用促進だけでなく、自然環境の保全や地域との共生を前提とした取り組みが求められています。
歩く東北研究所では、令和6・7年度の国立公園事業等を通じて取り組んできた実践事例をもとに、自然活用と保全の両立、ガイドツアーとセルフガイドの活用、地域経済循環、海外との継続的な交流、世界基準を取り入れた受入体制づくりを推進しています。
Core approach
歩く東北研究所の実践から考える
最初の問いかけ
「ツアーを作って終わり」にしていませんか?
自然資源や地域の受け入れ体制には必ず「限界」があります。単なる集客や商品造成ではなく、コンテンツ造成の先にある受け入れ環境、地域住民との共生、そして地域が疲弊しない観光をどうデザインするかを考えます。
売りすぎない観光とは何か
「何を守り、誰に届けるか」。観光客数ではなく質と持続性を追い、踏み荒らし、ゴミ、野生動物への影響を抑え、生活の平穏を守りながら歓迎される観光を目指します。
地域内部の合意形成
合意形成には4〜5年かかることもあります。地域は理論よりも感情が先に動くため、行政、自然保護官、地域住民、一次事業者との関係構築と、保全にも関わるコミュニケーションコストを見落とさないことが重要です。
Volcano Trailの実践
火山、温泉、食文化、日本酒、暮らしをつなぐ「山旅」を通じて、ガイドが担う保全・教育・安全管理の役割を紹介し、国立公園全体を主語とした広域化へつなげます。
MCTセルフガイド
アドベンチャーツーリズムにおけるガイド不足を前提に、旅前相談、行程設計、宿泊・交通手配、オンライン有料サポートなど、ガイドの知恵をパッケージ化します。
インフラとコンソーシアム
荷物配送サービスなどの周遊インフラを整え、地域エージェント3社とみちのくトレイルクラブによる体制で、窓口一元化と受入基盤の実証を推進しています。
国際コミュニティ形成
地域を売るのではなく、「歩く」「自然を楽しむ」という共通の価値観を持つ人々との継続的な関係づくり、コミュニティマーケティングへの転換を考えます。
Tourism stance
観光で最も大切なのは「スタンス」
売りすぎない観光とは何か
観光を考えるとき、多くの人は「何を作るか」「どう見せるか」から考え始めます。しかし、本当に最初に考えるべきなのは「何のために観光をするのか」というスタンスです。
売りすぎない観光とは、売らない観光ではありません。地域が疲弊せず、自然が傷つかず、地域の人からも歓迎され、旅行者にも深い満足を提供できる持続可能な観光です。
| スタイル(How) | スタンス(Why) |
|---|---|
| どう見せるか。デザイン、SNS、写真、演出、ガイド技術、高級感など、魅力を伝えるための表現。 | 何のために取り組むか。なぜ観光をするのか、誰に届けたいのか、地域をどう未来へ残したいのかという哲学。 |
| 磨くことも、真似することもできる。入口として人を惹きつける力は大きい一方で、表現だけが先行すると地域の負荷や受入側の疲弊が見えにくくなる。 | 地域の向き合い方そのものであり、簡単には真似できない。誰を迎え、何を守り、どこまで売るのかという判断基準になり、観光の持続性を支える。 |
スタイルは「見せ方」を整えます。スタンスは「選び方」を決めます。たとえば、人数を増やすのか、滞在の質を高めるのか。短期の売上を優先するのか、地域との関係を育てるのか。自然観光では、この選び方の積み重ねが、地域住民との信頼、自然への負荷、ガイドや事業者の持続性を左右します。
スタンスが決める判断基準
- 誰に来てもらうのか
- どこまで売るのか
- どんなガイドを育てるのか
- どんなストーリーを作るのか
- 保全をどう組み込むのか
良いスタンスを持つ観光
- 地域を消費せず、関係を育てる
- 人数だけを追わず、地域が疲弊しない
- 来訪者教育を行い、自然と文化へ敬意を持つ
- 地域・旅行者・自然の三者に価値を生む
ガイドにもスタンスがある
良いガイドは知識量だけでは決まりません。自分が主役にならず、相手をよく見て、地域と自然を尊重し、旅行者と地域をつなぐ。何を話すかよりも、どんな姿勢で案内するかに違いが出ます。
このスタンスを土台として、Volcano Trail、MCTセルフガイド、歩く台湾・歩く東北、世界基準のガイド育成を紹介します。これらは別々の取り組みではなく、「売りすぎない観光」というスタンスから生まれた実践です。
スタイルは人を惹きつけ、スタンスは人と地域の信頼を育てる。How to start
合意形成は大切。でも、正論を言うと現実論の話になる。 正論と未来を大事にしながら、小さな事績で姿勢を見せる。
地域の合意形成は大切です。しかし、「売りすぎない観光」や「保全と活用の両立」という本質的な正論を語ると、必ず「現実はそうはいかない」「過去にも同じような取り組みがあった」「今までのやり方がある」という現実論の話になります。現実論は、時として「できない理由」であったり、「過去の取り組み時の話」であったりします。そこで現実論に逃げたり、全員の理解や妥協点ばかりを探っていると、実践のスピードが鈍り、本当に大切にすべき未来のスタンスが薄れてしまいます。
大切なのは、私たちが議論しているのは過去でも現在でもなく、「未来の話」だということです。地域では各自が同じ未来を見ていないことが少なくありません。だからこそ、現実論を単に無視するのではなく、何を言われても正論と未来を大事にし続ける。そして正論を言葉だけで終わらせず、自ら行動で示し、「この指とまれ」で集まってくれた仲間とスモールスタートしていくことが重要です。
行動で示し、「この指とまれ」で始める
正論を議論や言葉だけで終わらせず、まず自ら行動で示します。正論と未来に共感し、「この指とまれ」として動いてくれた数名とスモールスタート。最初から全員を巻き込む必要はありません。属人的でも構いません。小さくても形にし、数字を出し、手触りのある事績(実績)をつくります。
過去や現在ではなく、「未来」の話をしているか確認する
現実論の多くは、「過去の失敗体験」や「現在のしがらみ」から生まれます。各自が同じ未来を見ていないことが多いからこそ、反論するのではなく、「私たちは5年後・10年後の地域をどうしたいのか」という未来の視点と、なぜこの正論が必要なのかという背景・意味を丁寧に伝えます。
現実論に逃げず、その背景にある感情を理解する
地域で長年現場を守ってきた方々の現実論の裏には、これまでの誇りや不安、感情があります。現実論を単に無視したり論破するのではなく、その感情に寄り添いながらも、できない理由(現実論)に逃げずに「正論と未来」を何を言われても大事にし続けます。
小さな事績を積み、未来を共にするフェーズへ
言葉だけで正論を説得するのではなく、小さな事績、参加者の確かな反応、地域消費、関係者の声を積み上げ、それをまた地域に開示する。「この指とまれ」の発信を続けることで、現実論を超えて「同じ未来を一緒にやる」フェーズが生まれます。
Practice portfolio
紹介する実践プロジェクト
Story design
ツアーの核は、火山地形と山麓文化をつなぐこと。
ふくしま火山旅では、火山そのものを眺めるだけでなく、火山が生んだ地形、温泉、湧水、盆栽、日本酒、地域の暮らしを一つの物語として編集します。山頂を目指す登山から、断面をとらえ、地勢を愉しむ山旅へ。山麓文化を旅の中心に置くことで、自然活用と地域経済の接点を広げます。
さらに、「日本の国立公園・活火山・温泉」という共通テーマで、阿蘇くじゅう国立公園や熊本・阿蘇との連携にもチャレンジしています。磐梯朝日国立公園だけに閉じず、複数地域の事業者が火山を軸に学び合う広域プロジェクトへ発展させる構想です。
Conservation loop
活用:保全 = 50:50
売上の一部を環境保全費へ積み立て、登山道整備、携帯トイレブース運用、人材育成へ再投資します。
Global editing
世界へ届く山旅
ローカルな自然・文化・人の物語を、国際的な旅行者にも伝わる品質と文脈で編集します。
From concept to sales
理念だけで終わらせず、実際に販売される山旅へ。
ふくしま火山旅は、コンセプト造成や報告書で終わるのではなく、外部パートナーと地元双方の販売導線へ展開しています。地域の物語を磨き、価格をつけ、実際に選ばれる商品として届けるところまでを設計します。
Partner sales
パートナー会社 / Kammuiによる販売
海外・高付加価値層にも届く文脈で、磐梯朝日国立公園の火山、温泉、山麓文化を編集して販売・展開しています。
Kammui販売ページ
Self-guided trail design
MCTセルフガイドと、東北の歩く旅ネットワーク
MCT Trail & Train
ガイドの「知恵」をパッケージ化
1000kmを超えるみちのく潮風トレイルでは、すべてのハイカーにガイドが同行することはできません。旅前相談、行程設計、宿泊・交通手配、オンライン有料サポートを組み合わせ、セルフガイドを支える受入体制を整えます。
三陸 Trail & Train
Coast to Coast
太平洋から日本海へ
松尾芭蕉の奥の細道としても知られる出羽信仰の巡礼路を、太平洋から日本海へ。地域の食、文化、人に触れる歩く旅として、JNTOのアドベンチャーツーリズムサイトでも紹介されています。
JNTO掲載ページMCTT構想
「インフラ」と「コンソーシアム」で支えるセルフガイド
荷物配送サービスなどの周遊インフラを整え、地域エージェント3社とみちのくトレイルクラブによる体制で、窓口一元化と受入基盤の実証を推進しています。
東北運輸局「令和8年度 みちのく潮風トレイル基盤整備実証事業」として、受入基盤の実証・整備を進めています。
MCTT構想PDF
Self-guided is not a replacement
セルフガイドはガイドの代替ではない
ガイドの価値を、より多くの人へ届け、ガイド自身が稼ぎ続けるための仕組み。
- 現場で案内する
- 1日1組
- 時間を提供する仕事
- ガイドがいなければサービスが成立しない
ガイドの経験・知識をサービス化
レベル診断 / 行程設計 / 宿・交通調整 / 装備相談
オンラインサポート / 天候・ルート相談 / 緊急時対応
フィードバック / 次の旅の提案 / コミュニティ形成
ガイドの知識が「知財(IP)」となる。
時間を売るのではなく、経験・判断・ネットワークを価値として提供する。
知財をきちんとマネタイズすることは、ガイドが飯を食べていくための大切な選択肢です。自分が現場に出ている時間だけで収入をつくるのではなく、行程設計、相談、地域ネットワーク、判断力をサービス化することで、別の収益導線を持つことができます。
多くの地域でガイド育成は行われていますが、ガイド自身のブランディング、マーケティング、セールス力までは十分に扱われないことがあります。だからこそ、自分で売る力、稼ぐ力に向き合うためにも、ガイドの知財を活かす視点が重要です。
セルフガイドが成立するのは、優秀なガイドがいるからです。お客様はただ地図を渡されて歩いているわけではありません。「どの区間を歩くべきか」「雨ならどう変えるか」「荷物はどう送るか」。こうした問いに答えられるのは、現場を歩いてきたガイドの経験と判断です。
これからのローカルガイドには、「歩く人」だけでなく「旅をデザインする人」という役割が求められます。知識や経験をサービスとして提供することで、一人のガイドが複数のお客様を支え、地域の知的資産として次の旅行者へ受け継いでいくことができます。
MCT self-guided sales site
WEBも含めた受入環境整備が、販売を支える。
みちのく潮風トレイルでは、ツアー造成だけでなく、相談、情報整理、地域対応、荷物配送、コンセプト発信までを一体で整えることで、年々受入数の増加につなげています。
- 豊富なレベル、日数別のモデルコースを掲載
- 1時間1万円のオンラインコンサルを提供
- ベジタリアン対応表を活用した表示と地域対応の向上
- 荷物配送サービスを地域事業者と連携してスタート
- コンセプトブックを作成し、無料配布
May self-guided case
2週間、MCTを歩くこと自体が来日の目的になる。
5月のセルフガイド行程では、成田到着後に八戸へ入り、種差海岸、北山崎、田野畑、浄土ヶ浜、釜石、大船渡、陸前高田、気仙沼へと歩く約2週間の旅を設計。目的は他の観光地を巡ることではなく、みちのく潮風トレイルを歩くことそのものでした。
- 地域の人との触れ合い、漁業・食文化・震災伝承を旅程に組み込む
- 浄土ヶ浜でのSUP、宮古の寿司づくり、釜石のラグビー場見学と震災伝承を組み合わせる
- 地元住民による料理教室、漁船でのホタテ養殖見学など、一次事業者との接点をつくる
- ビジネスホテルよりも旅館や民宿など、日本らしい滞在体験を好む傾向
- 相談、手配、現地サポートを束ねることで、地方の自然観光に十分な可能性が見える
その可能性を持続的に地域へ還元するには、単なる説明ではなく心に響く伝え方としてのInterpretationと、地域ブランドを守り育てるIntellectual Propertyの両面からIP戦略を考える必要があります。
参加者の声
Thank you for all you did for us. It was everything we wanted and more. I hope to be back next year with my family, and maybe I can talk them into hiking some of the beautiful places we did.
本当にありがとうございました。期待していた以上の体験でした。来年は家族と戻ってきて、今回歩いた美しい場所を一緒に歩けたらと思っています。
Thank you very much from all of us. We appreciate your hospitality and all the people of Japan we met.
私たち全員から、心より感謝します。皆さんのおもてなし、そして旅の中で出会った日本の人々に感謝しています。
We are back in Canada and I would like to add my thanks to you all for organizing such a spectacular adventure!
カナダに戻りました。これほど素晴らしい冒険を企画してくださった皆さんに、改めて感謝を伝えたいです。
It was a lifetime event for myself that I’ll never forget, and lots of good stories will come from the trip. Already I have someone calling me wanting to go.
私にとって一生忘れられない出来事になりました。この旅から、たくさんの良い物語が生まれます。すでに「自分も行きたい」と連絡をくれた人もいます。
インタープリテーション
「価値」を伝え、「共感」を生み出す
インタープリテーションとは、単なる知識や情報を伝えることではありません。自然・文化・歴史・人々の暮らしにある「意味」や「価値」を伝え、訪れる人が自分ごととして理解し、心を動かされる体験へとつなげるコミュニケーションです。
訪問者の満足度を高めるだけでなく、地域の人自身が地域資源の魅力に気づき、誇りを育む「インナープロモーション」としても大きな役割を果たします。私たちは、「伝える」のではなく、「価値が伝わる」インタープリテーションを大切にしています。
知的財産(IP)
地域の価値を「資産」にする
地域の自然、文化、歴史、体験は、本来かけがえのない知的資産です。それらを名称やストーリー、ブランドとして整理し、守り、育て、発信することで、地域ならではの価値を持続可能なブランドへと育てていきます。
知的財産(IP)は、単なる商標やロゴではありません。「ここにしかない理由」を明確にし、地域の独自性を守りながら、ブランド価値を高め、商品・サービス・観光体験へと展開していくための基盤です。
Two roles of IP
価値を伝え、価値を育てる。
インタープリテーションと知的財産(IP)は、どちらも「価値」を扱いますが、その役割は異なります。インタープリテーションは価値を伝え、共感を生み出すこと。知的財産(IP)は、その価値をブランドとして守り、育て、未来へつないでいくことです。
この二つが組み合わさることで、地域は「伝わる地域」から「選ばれ続ける地域」へと進化していきます。
地域には、まだ言葉になっていない価値があります。
私たちは、その価値を「伝える力(Interpretation)」と、「育てる力(Intellectual Property)」の両面から支援し、地域と世界をつなぐブランドづくりを行っています。
IP(知的財産) / Destination(目的地)
「来る理由をつくる」。単にコンテンツを作ることが来る理由にはならない。「旅」をつくることで目的地になる。
安全管理 / お客様理解 / インタープリテーション
安全を守り、お客様を観察し、その人が知りたいことに合わせて地域の価値を伝える。
感動・共感・再訪
体験が心に残り、地域との関係が続いていく。
Toward the next stage
世界基準から考える、日本における「トレイルガイド」の共通基盤
日本各地でロングトレイルや自然歩道が増え、「歩く旅」が広がる一方で、「トレイルを歩く人を安全に導くために、何を共通基盤とするのか」という考え方はまだ十分に整理されていません。
新しい資格制度をつくることではなく、世界のガイド制度や安全管理、野外教育、環境倫理(Leave No Trace)の知恵を参照しながら、日本各地でトレイルを案内する人たちが共通して目指せる「共通言語」としてのトレイルガイドのあり方をまとめた提言です。
- 資格ではなくスタンダード(共通の目標): 既存の登山・自然・ジオ・観光ガイドを否定するのではなく、日本各地のトレイルを案内する人たちが共通して目標とできる知識・技術・姿勢の目安をつくる。
- 「伝える力」と「安全に導く力」の明確な整理: 自然解説や地域文化を「伝える専門性」とは別に、リスクアセスメント、気象判断、ナビゲーション、野外救急など人を自然環境の中で「安全に導く力」を共通基盤とする。
- 海外事例(スイスの職域区分からの示唆): 高度山岳技術を担う「Mountain Guide」と、歩行活動を導く専門職「Wanderleiter(Hiking Leader)」を標高ではなく「活動リスク」に応じて整理。リーダーシップや事業運営まで学ぶプロフェッショナルとして育成している。
- トレイルガイドを支える7つの柱: ①安全管理とリーダーシップ、②インタープリテーション、③環境倫理(LNT)、④ホスピタリティと異文化理解、⑤地域との接続とチームづくり、⑥旅のデザイン、⑦マーケティングと事業運営。
-
核となるメッセージ:
「地域の魅力はローカルでいい。しかし、安全・倫理・教育は世界と共通言語を持つ。」
「世界基準を『日本版』に作り変えるのではなく、世界を基準に、日本のフィールドで実践する。」
Global standards
ローカルコンテンツ × 世界基準
Common foundation
世界で活躍するアドベンチャーツーリズムガイドに求められる共通基盤
世界には地域ごとに様々な資格制度があります。しかし、多くの優れたガイドに共通しているのは、自然への配慮、安全管理、教育・体験設計という3つの能力です。資格を取ることが目的ではなく、世界で培われてきた考え方を知り、自分たちのツアーを世界視点で見直すことが重要です。
地域の魅力はローカルでいい。
しかし、安全・倫理・教育は世界と共通言語を持つ。
Leave No Trace
自然への配慮と持続可能な利用。自然を守るためだけではなく、訪問者・地域・自然が共存できる利用方法を考える倫理観です。
公式サイトWilderness First Aid
安全管理と野外救急。経験や勘だけではなく、リスクを予測し、安全に判断・対応するための共通言語です。
公式サイトWilderness Education Association
教育・体験設計・ファシリテーション。知識を説明するのではなく、参加者自身が気づき、学び、感動する体験を設計する考え方です。
公式サイト私自身が感じたこと
私自身、LNTやWFAも大きな学びでしたが、特にWEAを学んだことで、ガイドの役割に対する考え方が大きく変わりました。「何を説明するか」ではなく、「どうすれば参加者自身が気づき、学び、感じられるか」を考えるようになったからです。
ガイドは知識を披露する人ではなく、体験をデザインするファシリテーター。世界視点で見ることで、自然への配慮、リスク管理、お客様が主体的に体験できる設計を見直すことができます。
Community marketing
地域を売るより、共通の価値観を持つ仲間を育てる。
台湾訪問では、中華山岳協会との友好連携協定を締結し、日本側16名、台湾側35名の計51名が参加。交流は一過性のPRではなく、磐梯朝日国立公園を主語とした広域的な山岳交流・保全協働の基盤づくりへと進んでいます。
「来てください」と発信するだけでなく、まず自分たちも相手の地域へ行き、歩き、学び、関係をつくる。相互の行き来を重ねる中で、観光客ではなく山友としてのコミュニティが育ち、台湾から東北へ、東北から台湾へという交流が生まれ始めています。
Taiwan mountain journey case
台湾から来てくれた山友ツアーが示した、滞在型山旅の可能性。
2026年5月に実施した台湾向け福島火山旅では、仙台入りから一切経山、五色沼レイクサイドトレイル、二本松酒蔵見学、安達太良山、地域関係者との交流までを5日間で構成。登頂だけではなく、温泉、食、日本酒、地域の人との触れ合いを重ねる「山旅」として好意的に受け止められました。
同じ宿を拠点に山・温泉・食・酒蔵・地域交流を組み合わせることで、滞在時間の延長と地域消費の拡大につなげます。
- 総合満足度は14名中12名が5/5、2名が4/5
- 台湾市場でのポテンシャルは14名中13名が5/5、1名が4/5
- 評価された点は、質の高いガイド、豊かな自然、食住の良さ、地元の人の温かさ
- 同じ地域に泊まり、山・温泉・食・交流を重ねる滞在型山旅への反応が強い
Taiwan market implementation
台湾市場に向けた山旅の商品造成・販売
台湾の旅行者に向けて、紅葉や地域の祭り、温泉、山歩きを組み合わせた「山旅」を造成し、実際に販売まで行いました。
単に観光地を組み合わせるのではなく、地域に滞在し、歩き、地域の人や文化に触れる時間を組み込むことで、「歩く東北」が考える山旅を台湾市場へ届ける実践となりました。
台湾との交流をプロモーションだけで終わらせず、地域での受入、商品造成、販売までつなげた実例です。
Asia Volcano Trail vision
台湾・日本のボルケーノトレイル連携から、アジア・ボルケーノトレイルへ。
将来的には、台湾・陽明山と日本・磐梯朝日をはじめ、双方の火山、温泉、国立公園を共通テーマにしたボルケーノトレイル連携を進めます。相互に歩き合い、共通する価値観を育て、国を越えて火山と温泉の道をつなぐ「アジア・ボルケーノトレイル」を目指すビジョンです。
Taiwan international forum
台湾登山国際フォーラムへ|低炭素・持続可能なハイキングを共に考える
台湾で開催された国際フォーラムに参加し、低炭素で持続可能なハイキング、自然の活用と保全、地域との関係について、台湾をはじめ各国の関係者と意見を交わしました。
台湾との関係は、単に旅行者を送り合うためのものではありません。何度も台湾を訪れる中で、自然の活用と保全を両立する意識や、「歩く文化」を社会に根づかせる取り組みには、日本が学ぶべきことが多いと感じています。
台湾を「売る市場」としてだけ捉えるのではなく、互いに学び、実践し、次の行動につなげる仲間として関係を育てています。
台湾に学び、台湾と組む 〜台湾登山国際研討会への参加報告と、台湾との交流によるAT推進について〜
2026年8月に台湾国家公園署が初開催した「台湾登山国際研討会」に日本から登壇。現地の反響や各国の事例から見えてきた、持続可能なハイキングの未来と日台の対等なパートナーシップについてまとめたコラム(一般社団法人日本アドベンチャーツーリズム協議会・JATO寄稿)の要約です。
- 国を挙げた国立公園の国際交流: 台湾政府(国家公園署)が主導し、アメリカ・ニュージーランド・チェコ・韓国・日本などの国立公園管理者や事業者が集結。低炭素で持続可能な登山・自然保全の議論を展開。
- 「利用か保全か」から「良い利用が保全を生む仕組み」へ: ニュージーランドのコンセッション制度(民間許可制度)やチェコのデータ経営など、世界の国立公園は「観光と自然保全の好循環」へと舵を切っている。
- 日本発「山旅」への高い共感: 単なる登頂にとどまらず、火山・温泉・食・文化を巡り地域に深く接続する東北の「山旅」と、LNT(Leave No Trace)の実践が海外関係者から強い関心を集めた。
- 「教わる・売り込む」を超えた対等なパートナーシップ: 保全先進の台湾に対し、日本の強みは民間の事業化・商品造成力。互いにないものを補い合い、高め合える対等な仲間としての関係が芽生えた。
- 台湾×東北の国立公園ネットワーク構想: 地方インバウンドの主役である台湾と、磐梯朝日・三陸復興国立公園を軸に「訪れ、つながり、体験し、守る」持続可能な受入基盤づくりを推進。
Community sales
コミュニティを育て、受入基盤へつなげる。
Stay tour
トップクラスの宿との連携
Day tourからStay tourへ。連泊型プランを前提に、文化体験・高付加価値宿・地域体験を組み合わせます。
Concierge network
トップコンシェルジュとのネットワーク強化
富裕層と地域をつなぐ接点として、宿泊施設、コンシェルジュ、DMCが連携する導線をつくります。
Guide network
東北ガイドネットワーク
ガイド、DMC/エージェント、高付加価値宿が三位一体となり、地域全体として富裕層を受け入れる基盤を構築します。
Talk session
世界基準で考える自然活用と保全の両立
世界から呼ぼうとするならば、まずは世界を自分が知ろう。世界各地へ歩く旅を自らも実践し、そこで得た知見を地域に、ツアーに活かしています。
台湾・スイス・アメリカ・ロッキー・ニュージーランド・カミーノの国名をクリックすると、参考写真を見ることができます。
台湾
登山タクシーや国際ハイキングカーニバルなど、歩く文化を支える受入体制とコミュニティ形成を紹介します。
スイス
車両規制や公共交通を組み合わせ、観光層も本格的な登山者も快適に自然へアクセスできる設計を考えます。
アメリカ・ロッキー
Timed Entryなど、混雑や自然破壊が起こる前に車両や人数を管理する利用設計を取り上げます。
ニュージーランド
トレイルバス、山小屋、外国人価格など、観光収益を保全財源と地域の維持管理へ戻す仕組みを共有します。
カミーノ
巡礼路として何百年も続く道が地域の誇りであり、ハイカーフレンドリーを生み出すとともに、地域観光経済の循環ももたらします。
経済と保全の循環
世界の事例を「海外の凄い話」で終わらせず、自分の地域のインとアウト、住民負荷、保全財源へ置き換えて考えます。
世界の国立公園・トレイル先進事例に学ぶ(台湾国際フォーラム報告レポート)
台湾で開催されたアジアトレイルカンファレンス・国際フォーラムでの登壇・現地対話を通じて共有された、各国の「自然保全と持続可能な利用」に関する実践ポイントです。
優雅な保全(Elegant Conservation)
利害関係者の対立を乗り越え、「全員がテーブルに着く」協働体制づくり。対立ではなく地域の持続可能性という共通価値のもとで国立公園を管理する姿勢。
Concession制度(特許・許可制度)
「良い利用が保全を生む」仕組み。事業者に適切な利用料と環境基準を課し、得られた収益を直接トレイル整備や環境保全の財源に還元する持続的モデル。
火災跡地の学び・データで公園を経営
大規模森林火災を契機とした自然再生の学びと、Mapy.comや自動カウンター等のリアルタイムデータを活用した分散誘導・来訪者管理の高度化。
多様な人々を支える公共サービス
国立公園を単なる保護区にとどめず、障がい者・高齢者・妊婦を含む多様な市民の健康増進やメンタルケアを支える現代的な公共インフラとして再定義。
自然観光の本質は、観光客数を増やすことではなく、自然を愛する仲間とのつながりを育てること。
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お問い合わせ・ご相談
トレイル整備、ガイド育成、自然体験プログラムの設計、地域連携やセミナー登壇など、
自然活用と保全に関するご相談はお気軽にお問い合わせください。
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